開幕までのそれからすれば安田の開幕一軍、スタメン抜擢、四番起用は、これまでの井口監督を考えれば異質なものであるのは明らかです。
もちろん福田秀の骨折離脱、レアードと井上の不振があってこそなところはあるにしても、それだけでは説明できないのがここまでの選手起用です。
昨日には聖域の一つだった藤岡を外して茶谷のスタメンフル出場がありましたし、他のチームでは当たり前のことが当たり前でないロッテの悪癖がもし変わる兆しなのであればもちろん喜ばしくはあるのですがこれはそうなのか、単なる気まぐれなのか、継続は力なりで続いてくれることを願わずにはいられません。
使わなければ始まらない
これは井口監督に限った話ではなく伊東前監督や西村元監督にもその傾向はありましたが、使わないから分からない、分からないから使えない、とばかりに目の届く範囲の一握りの選手だけで試合をやればいつまで経ってもチームの層は薄いままです。
大型補強だけではなく育成上手と誉め称えられるソフトバンクはただ分母が大きいだけで額面どおりには評価していませんが、それでも実績や名前に囚われない起用から学ぶところは大きいと、分母が小さいロッテこそがそれをやらなければ追い付くのは難しいでしょう。
例えば福田秀のときとは違って離脱した荻野の後釜に福田秀を据えましたが、ソフトバンクであれば岡、もしくは和田を抜擢したのではないかと思います。
実戦復帰をしてカードの頭から一軍に合流をするのかと思っていた福田秀が見送られたのはまだ調整が足りないなどの理由があったはずで、緊急事態にそれを曲げてしまうのがロッテ、そうでないのがソフトバンク、また代わってマルチヒットだった岡の胸中を思えばモチベーションはだだ下がりです。
ソフトバンクでは育成枠からの昇格に若い番号を与えるのも一軍に見合う結果を残したから当然と考えているのでしょう、そうした球団、ベンチの姿勢を見れば若い選手たちが寝食忘れて練習に打ち込み次から次へと新しい名前が出てくるのも分かりますし、それに負けないようレギュラー陣も気を抜けません。
どうしても物流に押され気味ですが個々の選手の資質で負けているとは考えておらず、しかしロッテは一度レギュラーを獲ってしまえば調子を落としても使われ続けることが多いのではないかと、それが無意識にも緩みに繋がり30代そこそこで下り坂に入ってしまう選手が目立つ理由だと見ています。
そんなソフトバンクの厳しい生存競争を知る鳥越ヘッドらには期待をしたのですが期待ハズレが正直なところで、上からの指示をこなすことには長けていても井口監督の方針に異を唱えるとまでは言わずとも別案を進言するなどはできないタイプなのかと、もう二年ちょっとも経てば諦めの境地です。
それだけ井口王朝が絶対なのであれば逆に言えば井口監督さえ変わってくれれば劇的にチームが変わる可能性があるわけで、そして話が元に戻ります。
使ってダメなら課題も見えてきますし見切りもできるでしょう、しかし使わなければ何も始まりませんし何も変わりません。
安田の抜擢、我慢で終わらずに茶谷のスタメン起用が新たな道への大きな一歩であって欲しい、一年目のあの期待に満ち満ちた出帆を再びに見せてください。