楽天との「大型トレード」があったこともあり、例年に比べて対象の多い今季でした。
ただやはり望まれて移籍をした選手とそうでない選手との差は歴然としていて、戦力外通告をされれば困難な道が待っているわけですから細谷らの今後が心配にもなりますし、来月に非公開で行われるトライアウトはもちろんのことその他の伝手などで良縁に恵まれることを願っています。
史上初の3球団での最多勝
■涌井秀章(楽天)
20試合 11勝4敗0S 防御率3.60 130回 110被安打 17被本塁打 38与四球 3与死球 110奪三振 被打率.230
見事な復活で西武、ロッテに続いて3球団での最多勝利は史上初、序盤戦での躍進を支えたMVPです。
開幕8連勝の後に3連敗と中盤戦以降はやや躓きましたが、金銭トレードでの移籍ということもありますから文句の付けようがありません。
ピッチングとしてはさほどに変わったようにも思えませんでしたが被打率が1割以上も下がって、また形としてはロッテに捨てられたようなものですから意地が手伝ったところもあったのでしょう、そのロッテを相手に4勝、防御率2.45、被打率.179とどこよりも抑えてしてやったりと胸を張っているはずです。
ロッテに残っていればこれほどの成績は打線の差があるにせよ無理だったでしょうから怒り、屈辱がエネルギーとなったであろうことは想像に難くなく、また外様になったことでこれまでの甘やかされていたような環境とは違ったところでの気持ちの入れ替えもあったと思われ、そうなれば二年目となる来季にそれを維持し続けられるのか、チーム内で一定のポジションを得たことでの緩みが出てくれば二の舞、三の舞ですから引き締めてまず目指すは通算150勝です。
■酒居知史(楽天)
46試合 3勝2敗0S 防御率3.65 44回1/3 38被安打 4被本塁打 18与四球 3与死球 34奪三振 被打率.233
ロッテがドラフト2巡目の3年目、足踏み気味ではありましたが酒居をプロテクトから外していたのには驚きましたが、酒居にとっては涌井と同じく気持ちを引き締めてやり直すにはいい機会だったかもしれず、小野とともに人的補償はプラスに働いたように思います。
涌井とは違ってロッテにはサービスのようなピッチングが目立ったのは楽天としてあれだったでしょうが、欠かせないリリーフ陣の一人でしょう。
ただこれまでと同じく投げてみなければ分からない、快投をしたかと思えばボール先行で炎上と安定感がイマイチなだけに来季に向けての課題となります。
■ブランドン・マン(レンジャース→楽天モンキーズ)
10試合 0勝2敗0S 防御率7.08 20回1/3 26被安打 2被本塁打 10与四球 2与死球 25奪三振
コロナの影響でマイナーリーグが未開催だったこともあり、ボルシンガー、レイビンが活動を停止したのに対してブランドンも当初はレンジャースとマイナー契約を結ぶも6月に解雇、そこからこれまでと同じく海外に目を向けて8月にCPBLの楽天モンキーズと契約、隔離後の9月からのプレーとなりました。
しかし先発、中継ぎとも結果を残せずこの数字であれば契約延長は難しいと思われ、来季に37歳ということで引退の可能性が高そうです。
■高野圭佑(阪神)
W 20試合 0勝1敗0S 防御率5.83 41回2/3 54被安打 6被本塁打 27与四球 5与死球 23奪三振
昨季のシーズン中にトレードで阪神に移籍をした高野は、今季は一軍での登板が無いままに戦力外通告をされました。
課題の制球難、は技術的なところよりもメンタルによるものだと見ていますが克服できないままに、ロッテでもそうでしたが二軍を相手にしてこれだけ歩かせてしまえば使いづらいのは当然と言えば当然、それでもその球威に期待はあれど30代に突入となれば再雇用は難しいように思います。
Twitterを「12/7 トライアウトを受ける高野圭佑」と改名してチャレンジを止めない高野に、朗報が届くことを願うばかりです。
惜しくも3割に届かず
■鈴木大地(楽天)
120試合 478打数 71得点 141安打 打率.295 27二塁打 1三塁打 4本塁打 55打点 1盗塁 53四死球 58三振 得点圏打率.279
9月以降に失速して最後の最後に3割を切ってしまいましたが、自己最高の.295と期待どおりの活躍を見せました。
一時期は首位打者、最多安打を争う勢いでしたし、楽天生命パークなのでもう少しホームランがあってもよいようには思いますが昨季の15発などはホームランラグーン効果もあったでしょうからその二塁打からして中距離ヒッターとしての本領を発揮した一年だったと思います。
やはりロッテに対しては思うところがあるのでしょう、.370の3本塁打と腹立たしいぐらいに打ちまくり、そして思い切りのいいスイングは健在でした。
守備ではファーストとサードとなればウィーラーが浮くからこそのロメロの獲得となったのでしょうし、そして外様ながらも投手への声がけなどチームリーダーとしての資質を存分に見せつけられれば、練習熱心なことからしても楽天にとって手放せない存在になっているでしょう。
こういった選手を結果的に追い出しながらも鳥谷に「チームリーダー」「練習熱心」のキーワードが持ち出されるのですからちゃんちゃらおかしく、去就未定としたファン感謝デーのコメントの翌日の移籍表明に一部のファンの反感を買っているようですが、鈴木大にとっては正解だったと思います。
ロッテとしてはかなり痛いですが過去の例を紐解けば山崎の放出が無ければ落合の台頭はもっと遅かったかもしれず、また西岡のメジャー移籍が無ければ鈴木にレギュラーのチャンスがあったかは微妙だったかもしれませんので、ここは心の穴を埋める安田の成長に期待しましょう。
■香月一也(巨人)
8試合 9打数 0得点 0安打 打率.000 0二塁打 0三塁打 0本塁打 0打点 0盗塁 0四死球 2三振 得点圏打率.000
澤村との格差トレードでシーズンの終盤に移籍となった香月は、しかし井口ロッテでは出番があるとは思えなかっただけに本人にはプラスだったと思います。
新しもの好きの原監督だけにさっそく一軍で起用されての9打席ノーヒットはアピールできませんでしたが、しかし左の長距離ヒッターと期待に応える二軍では20試合で6発にジャスト4割の打率も来季以降にチャンスを生みそうな、FAで大型補強をする巨人だけにレギュラーは厳しくもセカンドは狙い目でしょう。
チーム内で地蔵にされればその価値は分かりませんが、他球団であればそれが明らかになりますので香月にはとにかく頑張って見返してもらいたいです。
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