QED 伊勢の曙光

QED 伊勢の曙光
講談社

何となくいい感じに読めているので、このまま最後までいこうとQEDシリーズです。
前作でいきなり9年後に飛んだエピローグだったのでどういった入り方になるのかと興味津々でしたが、時系列的には元に戻ってちょっと肩透かしでした。
もっともそのエピローグがそうだったように桑原崇と棚旗奈々の関係にようやく、ようやくに進展があって一区切りの気配はあります。
ただこれまでもありましたが次作からflumenなどの冠が付く作品が続きますので、ちょっとまた流れが変わるのかもしれません。

ミステリーらしい

ここのところは殺人事件などがおまけでしかないしょぼい展開でしたが、今作は手に汗握る、と言うほどでもありませんがミステリー感があります。
それが伊勢神宮、と言いますか天照大神に絡めてくるのはシリーズらしくはあるも、本来に立ち返ったようでよかったです。
やれ古事記だの日本書紀だのに関わらず古今東西、残された歴史書などは勝者にとって都合のいいそれでしかないわけで、例によってどこまで学術的な意味合いが伴うのかは分かりませんが天照大神と天照、猿田彦神などの関係や滅ぼされた地主神、あるいは怨霊を封じるための神宮というものになるほどなと思ってしまうわけで、いわゆる学者さんがどう捉えているかが気になったりもして、ちょっとネットを漁ってみましたが見つけられませんでした。
皇祖神とされる天照大神を祭神とする伊勢神宮に皇室は明治天皇まで参拝したことがなかったとは知りませんでしたし神社にお約束の狛犬や賽銭箱、注連縄や鈴などが無いのも然り、その理由をややご都合主義的なところはあった事件解決とともに紐解いていく流れはなかなかに興味深かったです。

2022年1月8日 読破 ★★★★☆(4点)

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