QED 出雲神伝説
講談社
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出雲で話が繋がっている感じがあったので、立て続けのQEDシリーズです。
実際はそうでもなかったですが出雲大社や大国主神が出てきたり奈良こそが出雲の発祥といった展開は、前作を読んでいることですっと入ってきました。
もっともそれが正しいかどうかは分かりませんし一つの考え方なのでしょうが、古代史は詳しくないだけになるほどと思ってしまう自分がいます。
古代の戦い
古事記や日本書紀に記載された伝承、例えば因幡の白兎だったり国譲りだったり、子どものころに読んだ記憶はありますがこれが大国主神に係るものとの認識は当時も無かったと思いますし、ただのおとぎ話で昔の神々の一人ぐらいの感覚だったのだと思います。
前作もそうですがこのシリーズで古代史がテーマだとこういった伝承は今に続く朝廷の始祖が日本を手中に収めるための戦いを物語ったものだとしていて、その戦いの鍵を握った製鉄、たたらについての記述が多いですし、敗れた者のなれの果てでさげすまれた河童や蜘蛛などの存在にも触れられています。
本当は恐ろしいグリム童話、なんてのもありましたが、勝者が残した歴史でしかない古事記なども似たようなものなのでしょう。
実のところこれまではもうひとつ響いていなかったのですがこの二冊を続けたこともあってか分かりやすく、出雲神流なる忍びの集団を持ち出したどうでもいい殺人事件はミステリー仕立てであれば仕方なし、難しげで細かな説明を流し読みにしなかっただけでも引き込まれるものがありました。
消化不良だったのはやたら長いエピローグかと思えばいきなり9年後を舞台にしていて、シリーズが終わるのか、桑原崇と棚旗奈々のその後が分かるのかと期待をしてみれば小松崎良平がどうやら連れ子のいる女性と結婚をしたことだけが分かっただけで、モヤモヤ感が半端ないので引き続き読み進めます。
2021年12月16日 読破 ★★★★☆(4点)